平成大不況の背後から忍び寄る「怖いもの」 |
アメリカの景気は底を打ち、上昇に転じたという報道があった。一方、我が日本はというと、まだ先の見えない不況のもとで喘いでいる。その上、今の日本には怖い状況が刻々と、しかも確実に忍び寄ってきているのだ。 少子・高齢化がもたらす社会構造の歪みである。これは年少者を対象にしたビジネスが、冬の時代に入るといった段階にとどまらない恐ろしい状況を意味している。 先に国立社会保障・人口問題研究所が公表した「日本の将来推計人口」によると、人口は二〇〇六年をピークに減少に転じ、総人口に占める老年人口(65歳以上)の割合は、二〇〇〇年の17・4%から二〇五〇年には35・7%に上昇するという。三人に一人が高齢者となるわけだ。 しかし、これらの数字に表れない問題がある。二〇〇〇年は老年人口が年少人口を初めて上まわった年である。 国民の約三人に一人が年少・老年人口、二人が生産年齢人口ということになるが、問題は15歳以上を生産年齢としている点である。子どもが14歳で脛をかじるのをやめてくれたら、親としてこんな楽なことはないだろう。 つまり、現在でもすでに二人以下の生産年齢者が一人以上の年少・老齢者を支えており、この層の負担はますます重くなる一方なのだ。これが社会保障や介護などに重大な影響を及ぼすことは目に見えている。 さらに、産業の海外シフトは進むにしても、近い将来、労働人口が不足することも容易に想像できる。それを補うのは高齢者層か、外国人か、それとも機械なのか。 私たちも真剣に考えておかなければならない大問題である。日本の社会構造が崩壊する一歩手前なのだ。 (N) |