W杯、若者は見事なまでに巻き込まれた
サッカーのW杯が始まった。アジア初、そして初の日韓二カ国による開催である。若者の間ではさぞ盛り上がっているのだ前回はW杯を直前にして、意外なほど醒めている若者について述べた。彼らはその後どうなったか。興味をひかれたので、さらに追跡調査をしてみた。サンプル数は200を超した。
 結論から先に紹介すると、見事なまでに巻き込まれ、盛り上がってしまった若者像が浮かんできたのである。もちろん少数ながら最初から熱狂していた者、さらに少数ながら一貫して興味がない者もいた。
 W杯が開始される前からテレビはW杯一色になった。そのためつい興味をひかれて日本の第一戦を観た。あるいは父親や家族がつけたテレビを観た。その段階ではそれほど期待をしていなかったというのが大多数である。
 だが、日本は第一戦ベルギーに引き分け、予選突破の可能性がでてきた。第二戦のロシアに勝ち、可能性が高まると共に、世界トップクラスのサッカーの迫力、魅力を知ることにもなった。ベッカムが一番素敵、稲本を携帯の画面に入れたというミーハーもまた、周囲との共通の話題ができ、街頭の見知らぬ人とも盛り上がって、日本人としての一体感を抱く感動を味わったのである。
 肥大化し百花繚乱の嫌いがあるオリンピックに比べてW杯は単一種目である。しかし単一種目でありチームプレイであるからこそ、自分の国を意識し、さらに熱狂するのだということを、筆者自身が初めて実感したのも、日本が決勝トーナメントに進んだ夜である。
 なるほど、たしかにこのW杯は世界最大のスポーツイベントであるのだ。現代人は共感を求めているというのは、かねてから筆者の主張であるが、それを裏づけられたような気がしている。            (N)
戻る