若者に蔓延するコンビニエンスストア症候群 |
この夏、地方の短大のバレー部が大会出場のために上京した。選手には教え子もおり、監督とも親しいので、激励のつもりで宿舎を訪問した。ミーティングの席でハッパをかけ、監督とその辺でちょっと一杯とばかりに旅館をでる時、フロントで、“何か”の場所を尋ねている学生が目に入った。試合の前夜、すでに9時を回っていた。 監督に「学生たちを街にだすの?」と聞いたところ、「いや、彼らはコンビニの場所を聞いているだけ」という。 今の学生は、旅行でも遠征でも、宿舎に到着したら、まず近所のコンビニの在りかを確認するそうである。 「もし近くにコンビニがなかったら、彼らは茫然自失状態、どうしてよいかわからなくなるんです」 いわば、コンビニエンスストア症候群である。今の若者はアパートを探す時、近くにコンビニがあることを条件のひとつにするという。すでにコンビニは生活の必需品であり、レジャー施設の要素さえある。 以前、学生に日常的な余暇の過ごし方を書かせた時、コンビニで雑誌を立ち読みするという答えが少なからずあり、違和感を覚えたことがあった。外から見えやすい位置にあるコーナーでの立ち読みは、店の賑わいの演出でもあると知ってはいたが。 コンビニの傍でたむろして飲食するのも、今や若者の風俗のひとつである。筆者の住む街の古い酒屋は、二軒がコンビニに変わり、一軒が廃業した。たしかにその名の通りコンビニは、きわめて便利であり、生活のキーになるのも当然であるが、ただ、日常に隣接したレジャーのキーステーションとなると、他にあるはずだし、なければいけないのではないか。 (N) |