機械・エレクトロニクスと人間の感覚
 人間工学がひときわクローズアップされた時期があった。ちょうど機械が急速に発達し、エレクトロニクスが日常生活にも入り込んできた頃である。
卑近な例をあげれば、電気製品のスイッチを押せば、瞬時に電気が伝わり、あるいは切断されるわけだが、人間の実感にあわせてランプの点滅を少し遅らせるというようなことである。車のハンドルの遊びもある意味で同様である。
今ではさらに進んでいる、と言いたいところだが、なぜか最近は行き過ぎているものもあるような気がする。筆者の持っているエレクトロニクス機器は、スイッチを切っても「あれ、切れない」と慌てるまでランプが消えないものがある。その違和感にはいつまでたっても慣れない。素人としては開発者が少し勘違いをしているのではないかと疑っているのだ。
技術革新は日進月歩である。それは喜ばしいことだが、人間の感覚や感性は、それほど進んでいるわけではない。最新の技術を追求する人は、日々新しいことを追いかけるあまり、そのあたりを忘れるきらいがあるのではないか。
最新の機械・エレクトロニクスと人間の感覚・感性をもっとも直接結びつけているのは、他ならぬAM産業である。基本的に遊びとは、もっとも人間の本能に近く、生物としての人間が生まれながらにもっている本性である。
機械娯楽の発達は人間の感覚をおきざりにしてはいないか、技術の導入ばかりに意識が注がれていないか、たえず検証する必要があるだろう。AOU2003アミューズメントエキスポが行われる。
さて人間に優しい機械は、どれだけ見つかるか。                          (N)
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